個別指導への歩み
高田童心学園
40年の歩み
今年(2023年)、高田童心学園は40年目の節目を迎えます。
この地で塾を立ち上げ、ありがたいことに40年続けさせていただきました。
最近では、教え子のお子さんを預からせていただいています。
当初は、黒板を使った、今で言う「一斉・集団指導」の塾でした。わずか6名でスタートした塾も、180名の塾生に通っていただくまでになりました。
しかし、その頃より、私の中に少しずつ「疑問?」が湧いてきました。
1 子供たちが考えていない。
中学2年生に数学の「一次関数」を教えていた時のことです。
この単元は、数学の苦手な子には、中々難しいものです。説明しながら、子供たちに「どうも納得いってないな~」という表情が見えるのです。「よし、分かった。明日もう一度説明しよう」とその日は終わりました。
そして、次の日、色々工夫を凝らして説明。今度は、「先生、ようわかったワ~」との声。
それはそれでいいのですが、
私がその時思ったのは、
「待てよ、これは一体誰が勉強したということになるのか?」。
私は一所懸命考え、工夫を凝らしました。けれども、子供たちは待っていただけです。
これではいけない!これは「受け身の勉強だ!」これでは、「自ら考える・学び取る力」が育たない。
確かに、「わかりやすく教えて、それを徹底反復させれば、目先の点数にはつながる」のですが、それでは、いつまでたっても「学ぶ力は育たない」のです。
「おいしい料理を作って食べさせるのではなく、素材を自分で料理する方法を教えたい、レストランではなく、料理学校でありたい」と考えました。
ちょうどその頃から広がり始めた言葉が「指示待ち人間」。恐らく「詰め込み教育」が一つの要因になっているのでしょう。
2 一斉・集団指導の限界。
1クラス25名(当時)で教えれば、必ず「帯に短し・タスキに長し」で、どの子も伸ばすことが難しくなります。塾の指導レベルについて来られる子だけができるようになり、あとは、「切り捨て」です。だから、どの塾でもある「能力別クラス編成」。
それでも、一斉集団指導の限界は残ります。
これらを解決して、
「自ら学び取る力」を着けたい、「どの子も伸ばしてやりたい」
そのためには、どんな方法があるのか?
人づてを頼りに「模索」の行脚です。東京・名古屋・四国と教えを請いに出かけました。
その過程で、1冊の本に出合いました。「勉強は一人でやったほうが伸びる!!」(佐々木慶一著 桐原書店 1987年刊)。
その頃少しずつ広がり始めた「個別指導」の元祖といわれる人です。東京の市谷(官僚の多く住むところ)で塾を開いていました。北海道からその塾に入るために引っ越しする人がいると言われたそうです。
「これだ!」
はっきり言って「のめり込みました」。熟読・再読して自分の塾にどうやって取り入れようか考えました。そして、
「自ら学び・考える学習を進める新指導システム」
として立ち上げました。
ところがここに「落とし穴」ありました。「佐々木方式」といわれるこのやり方は、「東大」を目指す生徒が対象だったのです。私の塾に通ってくる生徒向けではない!
しかし、
「これは本物の勉強の仕方だ」
自分が勉強してきた過去を振り返っても「自分で考えたことだけが身についている。「なぜ・どうして」と、ああでもない・こうでもないと苦労をし、「なるほど」と分かったことだけが「残っている」のは間違いない。何とか子供たちに合うようにして、この勉強の仕方を身につけさせたい
そこから、又、改善改良、改善改良・・・
指導の稚拙さ故に、塾をやめていった子が脳裏から離れません。
そして7年後。この指導法に変えた一期生の卒業生が、同志社大を出たのですが、公認会計士を目指して浪人中なので塾でアルバイトがしたいと訪ねてきました。私立高校受験で思わぬ失敗をし、1・5次入試で何とか私立高校を確保させ、橿原高校に進んだ子でした。
彼の言った言葉が「塾長、あのやり方があったから、オレ、今、公認会計士目指せるネン」
やってきたことは間違いではなかった。
一抹の不安が確信に変わった時でした。
卒業生のその後を聞くと、沢山の卒業生が高校で伸びているのが分かります。
この指導法を完成度の高いものにしていかなければならないと思う。
まだまだ、指導の手から漏れる子が出てしまいます。
一人一人のできない・わからない原因を探って、それに対処しながら、教え込むのではなく「自ら学び取る力をつけ」て、自分で問題が解けるようにならせたい…自分で考えられるようになると、それが自信になり、学習に取り組む「やる気」につながります。
そして、何よりも、その力は、社会に出て、自分自身で物事を考え、決断し行動できる力になっていくのです。
「教育」には完成はありません。改善・改良の連続です。
塾ですから学校の成績・受験は極めて重要です。入塾の懇談や、学期ごとの懇談でお約束したことには、全力を尽くします。
けれども、
「点数を上げてもらいました、
でも、自分で考えないから
頭はよくなりません、
結局、他人への依存度が
上がりました」
にはしたくない、そんな思いで、この塾を続けてきました。
「勉強」を通して、社会で自立できる、社会の貢献できる力を
当塾の考えに賛同して頂ける方の入塾をお待ちしております。